5月15日、みやこめっせにおいてアクセス関西の企画が行われました。
テーマは「関西発信!障害当事者の視点で地域をもっとバリアフリーに―誰もが生活しやすいまちづくりを目指して障害当事者参画を推進していくために―」です。
最初に総会が行われ、昨年度の振り返りと今年度の方針が確認されました。
後半の学習会は、新田保次さん(阪大名誉教授)が最初に登壇しました。
新田さんは「改正バリアフリー法と評価会議について」と題して話を進めました。
交通バリアフリー法の誕生とねらい、バリアフリー新法と改正バリアフリー法、改正バリアフリー法の評価会議について、が主な内容です。
交通バリアフリー法は2000年にできた法律ですが、それは80年代後半から交通機関のバリアフリー化の流れの中にあります。新田さんは、2001年の堺での歩道調査を紹介してくれました。歩道の狭さ、通行を困難にする電柱、豊中の駅改札、など21世紀には入っていましたが、かなり整備が不十分だと感じる映像が観れました。
こうした状況を変えていくための法律が、バリアフリー新法(06年)です。対象を身体障害者だけではなく、知的精神の方々にも拡大させていきました。住民、当事者参加の促進も書き込まれていましたが、大きな進展はなかったとのことです。
昨年成立した改正バリアフリー法についても言及がありました。
おさらいになりますが、共生社会の実現、社会的障壁の除去などいわゆる「社会モデル」を導入したことが評価できます。
法律の制定を受けて、事業者がハード整備に関するマニュアルを出すことになっていたり、自治体が作る「マスタープラン」を新たに300増やそうとするなど、前向きな動きがみられます。
今回の学習会でもたびたび登場した評価会議は、障害者の意見を施策に反映させるための仕組みで、定期的に移動円滑化の進展状況を把握し評価するものです。
新田さんは、市町村に対して積極的に取り組むように訴えていくことが大事だと強調していました。評価会議を補完する「地域分科会」と言うものが開かれ、近畿では6月に開催予定だとのことです。情報を集めて偵察に行ってみたいと思いました。
DPI副議長の尾上さんは、バリアフリー法を地域で生かすには、というテーマでした。マスタープランへの取り組みが中心的な話題でした。
バリアフリー法は昨年5月に成立し、11月に施行されています。マスタープランの策定とその達成状況などを評価する評価会議は、どの課程でも障害当事者が参画し意見を反映させることが努力義務となっています。マスタープランの前身の移動円滑化基本構想では、この十年ぐらいは制定した自治体が一桁にとどまっている状況です。これを打開するためにマスタープランを積極的に活用していくべきですが、昨年度作成した自治体は明石、宇部、射水の3都市にとどまっています。
また改正バリアフリー法の積み残した課題として、小規模店舗、学校、共同住宅、宿泊施設などがあげられます。ほかにも、エレベーターかごの大きさの最低基準が最高基準になっているのが日本であり、IPCが出している基準は17人が最低です。大阪(市)では、車いすスペース各車両ごとにあることが当たり前だとのことですが、バリアフリー法では一編成(一つの電車)に2カ所にとどまっています。ホテルもようやくバリアフリールームが1%と明記されました。
最後に尾上さんは、障害者が差別を受けながら町にでることでバリアが可視化されてきたのがここ30年の交通バリアフリーの運動です。バリアフリー法でうたわれているマスタープラン、当事者参加の策定が当たり前になるようにしていきたいと、力強く結ばれました。
石塚裕子(阪大講師)さんは、「明石の取り組みへの期待」と題して発言されました。石塚さんは、明石市のマスタープランのサポートをしています。基本構想は2002年に策定しており、今の泉市長の下で様々な障害者施策をとってきている。
単純に移動を円滑化させるのではなく、社会参加を推進しているところが明石の評価できる点。ユニークな点として「ユニバーサルツーリズム」の促進をあげており、「出かけたくなる町」をキャッチフレーズにしています。
明石の今後の取り組みに期待したいです。
そのほか、六條友聡さん(ぽぽんがぽん)、三星昭宏さん(近畿大学名誉教授)の指定発言もありました。
改正バリアフリー法の当事者がどう生かしていくかを考える有意義な学習会でした。
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