2017年8月29日火曜日

アクセス関西ネットワーク学習会


816日、大阪市・中央会館に尾上浩二さんをお招きし、アクセス関西ネットワークの学習会が行われました。
学習会の前に、我が会の宮川さん、高槻の北口さん、ちゅうぶの松崎さんという関西のバリアフリー運動を作ってきたの3名の方が相次いで亡くなり、追悼の時間がもうけられました。3名の意志受け継ぎ、運動を進めていくことが確認されたと思います。








学習会のテーマはバリアフリー法でした。 
バリアフリー法が作られ、電車やバスなどが整備され、エレベータや多機能トイレも車いす使用者など障害者が利用しやすい環境が整えられて来ています。しかし、地域間の格差は大きく、まだまだバリアがたくさんあります。具体的には、京橋駅のエレベータ訴訟が行われていますが、目的のホームに行くのにかなり時間がかかる問題、新設エレベータの規模、ホームと車両の段差解消、地方と都市の格差、無人駅の増加などがあります。そんな中、バリアフリー法の基準改訂の動きが進められており、今年5月には第一回の検討会が行われています。少しでも多くの当事者の意見が反映されたものにしていかなければなりません。

現在のバリアフリー法は2006年に制定されましたが、94年のハートビル法と00年の交通バリアフリー法が合わさってできたものです。特定建築物が対象だったのがハートビル法で、旅客施設・車両のバリアフリーを進め、重点整備地区のバリアフリーを進める重点整備地区を作り、住民の意見を採り入れたバリアフリー基本構想などを盛り込んだのが交通バリアフリー法でした。
バリアフリー法では、「移動円滑化基準」という基準を定めてそれに新設の建築物をあわせます。既存の施設は努力義務です。基本構想の策定も規定、駅前だけでなく経路や旅客施設を含まないエリアも対象となりました。住民提案の基本構想も可能になりました(ただし、これまでは土浦市の1件だけ・・・)。基本構想の数は2003年には65件が受理されていますが、2015年には15件にとどまっています。










バリアフリーを具体的に進めていくうえでの取り決めがガイドラインです。ガイドラインはバリアフリー法以前から存在しています。ガイドラインは、共通と個別があります。               トイレやエレベータ、車両など個別の設備ごとにガイドラインが作成されており、尾上さんはそれを詳しく解説してくれました。                             

バリアフリー法の課題についても話がありました。現在の法律は移動を保障するものにはなっていないとのことです。                                   
切れ目のない移動を確保する=「移動の権利」を確立していかなければなりません。
また、バリアフリー法では障害者の定義が機能障害を重視した医学モデルになっており、社会モデルを適用すべきだと、強調されていました。                        
基本構想については、作っておわりでフォローアップがされていない問題があります。当事者参加に関しても、ユーザーではなく団体の長(健常者が多い)が出席していることが多いといわれていましたが、これは京都も同様です。                                
来年の通常国会にはバリアフリー法の改正案が出てくることが予定されています。         
日本のバリアフリーはコンクリートに特化している面があって、情報の保障が遅れているようです。
各地の条例で国の基準に「上乗せ横だし」をしていく運動も重要です。         
大阪府では、国の法律では2000平米の学校がバリアフリー化の対象ですが、府の条例ではすべての学校が対象となっていたり、コンビニも国は2000平米ですが、府は200平米が対象です。

地域での取り組みが大事だということがよくわかる学習会でした。