2018年10月15日月曜日

アクセス関西ネットワーク集会

恒例のアクセス関西集会が今年も10月10日に開かれました。
 テーマは
「 関西をもっとバリアフリーに!
ーバリアフリー法・マスタープランの活用と地域取り組みー」


場所は大阪の福島区民センター。
会場は200名の参加者を集め、一同内容の濃い話に熱心に耳を傾けました。

アクセス関西大賞は、水間鉄道でした。
水間鉄道は貝塚市を走るローカル線で、今回講演していただいた方は元は大阪市交通局につとめていたようです。早期退職し、ディズニーランドなどで接客を学びながら、水間鉄道に入られたようです。
水間鉄道では、これまで車いす使用者が電車に乗るときは、事前に連絡をしていましたが、アクセス関西の足立さんと話をする中で改善を進め、渡り板(スロープ)を電車に搭載することになりました。搭載は最初は2編成のみだったのが、現在は4編成(所有するすべての編成)で搭載しているとのことです。搭載する前に、当事者が実際に使ってみて決めたということも心に響きました。

今年の集会は、講演者が4名ととても豪華でした。
以下要約です。

◆北川博巳さん(日本福祉のまちづくり学会)
・バリアフリー法の改正を振り返り、その意義と今後への提言を語りました。
・バリアフリー法はインクルーシブ社会の不可欠な内容を含んでいる。
・基本方針にうたっている理念はすばらしいが、なかなか内実が伴っていないことが多い。
・改正で大きなポイントの一つは、基本構想のグレードアップがある。
・当事者参加の仕組みを強化したことも評価できる点であり、当事者が講師になった研修の推進も良い点である。
・好事例の一つとして兵庫県の縁石ブロックを紹介。
  →バリアフリーにもご当地性がある。
・移動円滑化基準のガイドラインの作成に参加した時のこと。
   複数ルート化、エレベータの大きさ、鉄道の車いすスペース、など
・福祉のまちづくり学会の大会での意見
 勉強する機会が当事者にも求められる。全国一律でいいのか。
 一連のバリアフリーができてなくて、個々バラバラで途中でとぎれている。


◆三星昭宏さん(近大名誉教授)
・障害や車いすの多様化
・継続改善のための協議会
  →バリアフリー推進協議会 豊中市の例
   市全体の総合的なバリアフリー推進の状況と評価
   公園の車止め、道路の境界線、などにも改善例
・基本構想を作っていない自治体が多い。(特に地方)
 そのため、継続改善(PDCA)が進まない、重点地区以外のバリアフリーが進まない
・市全域を対象にしたマスタープランが必要
  古くなった基準、ガイドライン、
  積雪時、観光、自社仏閣、アウトドアなどは基準、ガイドラインにない
・審議会、東京の人が多い、開催場所も東京
   →ほかの地域の人、場所で会議を開くべき

◆尾上浩二さん(DPI日本会議)
・歴史的な話
   障害者が施設がでて地域で暮らす中で町のバリアが可視化していった
   鉄道駅舎 エレベーター設置促進法案 →とりつぶし
   大阪府 「福祉のまちづくり条例」(92年)
   基本構想、最初は良かったが現在は頭打ちに
・改正バリアフリー法の評価点
  理念規程の盛り込み
  社会的障壁の除去
  共生社会の実現
  合理的配慮のための環境整備との連携
  地域での取り組みのツールが増えた(マスタープラン、委任条例など)
  当事者参加の評価会議の設置
   マスタープランに関しても協議会による評価を明記
   ここも大きな肝だが、自治体の努力義務
・マスタープラン制度
  向こう5年で300カ所でつくれるように補助の仕組みを設ける
  基本構想は任意だったが、努力義務になった。
  定期的(5年ごと)の評価、見直しも努力義務に

・残念な点 → 建物関係ではハートビル法から25年変わっていない

◆六條友総(ぽぽんがぽん)
・茨木市の取り組み紹介
   基本構想までの経過
   当初は当事者1名のみ参加
   市当局、事業者との意見交換会・協議会を積み重ね、実地調査も合同で行う中で理解が深まっていった
  車止めのゲート
   話し合いの中で通りにくいゲートはつけず(重点地区)
   縁石段差 兵庫県の取り組みを参考に総持寺駅付近についた
・マスタープランを市長マターにしていく
  部局だけでなく市全体の問題として課題を解決していく

昨年からJCILでも取り組んだバリアフリー法の改正。
法律が成立し、不十分な内容も多々ありますが、良い点を見つけこれを活用していくのは私たち一人一人の取り組みです。
今回の集会では、法律を生かしていくための様々なヒントを得ることができました。




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