2019年10月30日水曜日

アクセス関西集会2019

10月10日、神戸市勤労会館において毎年恒例のアクセス関西集会が行われました。
最初にアクセス関西の表彰式があり、須磨ニユバーサルピーチプロジェクトから木戸俊介さんが受賞の講演をされました。
名前の通りビーチマットを砂浜に敷き、車いすで砂浜を移動して海にはいるという取り組みです。ビーチマットを敷くことは手間と時間がかかりますが、それが人が集まってくるきっかけになったとのことです。
着替え用のテント、シャワーなどを整備することで参加者も増えていきました。
他にもサーフィン、田植え、稲刈り、山登り、などアウトドア系のイベントをたくさんこなしていて充実した活動をされていることが伝わってきました。

バリアフリー○×クイズの後は各地の取り組み報告がありました。
奈良からは町歩きので感じた様々なバリアを改善していく話、兵庫からは高速バスのバリアフリーの話、京都は私たちJCILからUDタクシーの話と帝産バス乗車拒否問題、吹田のJR新駅についての報告、滋賀からは地域での交流やまちづくりについて、大阪からはUSJの問題、兵庫からは明石駅周辺のバリアフリーについて報告がありました。

地域の取り組み報告のあとは、六條さんと尾上さんの講演です。
六條さんは茨木市のバリアフリー調査、店舗や避難場所となっている小学校、などの
移動円滑化評価会議についても報告がありました。
近畿地方では6月14日に会議が開かれており、六條さんは山名さんと交代で参加しています。六條さんは、バリアフリー基本構想協議会や縁石ブロックの違いの検証に参加されていた話や乗務員研修の比較にも言及されました。阪急バスでの研修では国交省の職員が参加して研修内容を把握してもらうとのことです。
地域の取り組み、好事例を集約して、近畿の分科会に反映されていくことが大事だと訴えられました。

尾上さんは改正バリアフリー法と当事者評価と題する講演です。
改正バリアフリー法に基づき設置された評価会議は、国レベルでは2回開かれていますが、地域の分科会は年1回にとどまっています。
評価会議では、好事例の紹介と共有、設計・計画段階から当事者の意見を採り入れる仕組みを、マスタープランは基本構想を作っているのなら必要ないとの誤解がある、バリアフリーの質の問題、などの意見が出されており、当事者が積極的に発言していることが伺えるものでした。
段差隙間の解消に関する検討会の結果も紹介されました。
段差3センチ、隙間は7センチと大阪メトロより後退したないようになっています。
マスタープランは言うまでもなく改正バリアフリー法の目玉です。
国は5年間で300カ所を目標にしていますが、1年目でまだ10件です。補助金制度もありますが、なかなか進まないのが現状です。
関西では大阪池田市、兵庫明石市です。
明石市は「ユニバーサルデザインのまちづくり実行計画」というもので、基本理念は「だれもが出かけたくなるまち」です。
基本方針が7つあり、都市整備に当事者の意見を反映、当事者リーダーの育成と
切れ目のない交通体系の整備というのは、駅周辺ではなく駅への経路も含める広い範囲になっています。
施設と道路の連続性の確保、店舗内段差の解消などが詳細に記され、「災害時、緊急時のUDのまちづくり」では避難所のバリアフリー化に言及するなど、これまで課題であった項目に配慮がされていると感じました。
国レベルでは建築関係が特に取り残されたままになっています。
2000平米の建物が対象だと言うことでもその後進性がわかります。
改正法で残された課題はたくさんありますが、みんなが町に出てバリアにぶつかり、その都度意見を言って反映させていく、やっぱり声を上げていかないと変わらない、ということです。
わたしたちもがんばります。


2019年5月22日水曜日

第8回 アクセス関西ネットワーク総会&学習会

5月15日、みやこめっせにおいてアクセス関西の企画が行われました。
テーマは「関西発信!障害当事者の視点で地域をもっとバリアフリーに―誰もが生活しやすいまちづくりを目指して障害当事者参画を推進していくために―」です。  

最初に総会が行われ、昨年度の振り返りと今年度の方針が確認されました。



後半の学習会は、新田保次さん(阪大名誉教授)が最初に登壇しました。
新田さんは「改正バリアフリー法と評価会議について」と題して話を進めました。
交通バリアフリー法の誕生とねらい、バリアフリー新法と改正バリアフリー法、改正バリアフリー法の評価会議について、が主な内容です。
交通バリアフリー法は2000年にできた法律ですが、それは80年代後半から交通機関のバリアフリー化の流れの中にあります。新田さんは、2001年の堺での歩道調査を紹介してくれました。歩道の狭さ、通行を困難にする電柱、豊中の駅改札、など21世紀には入っていましたが、かなり整備が不十分だと感じる映像が観れました。
こうした状況を変えていくための法律が、バリアフリー新法(06年)です。対象を身体障害者だけではなく、知的精神の方々にも拡大させていきました。住民、当事者参加の促進も書き込まれていましたが、大きな進展はなかったとのことです。
昨年成立した改正バリアフリー法についても言及がありました。
おさらいになりますが、共生社会の実現、社会的障壁の除去などいわゆる「社会モデル」を導入したことが評価できます。
法律の制定を受けて、事業者がハード整備に関するマニュアルを出すことになっていたり、自治体が作る「マスタープラン」を新たに300増やそうとするなど、前向きな動きがみられます。
今回の学習会でもたびたび登場した評価会議は、障害者の意見を施策に反映させるための仕組みで、定期的に移動円滑化の進展状況を把握し評価するものです。
新田さんは、市町村に対して積極的に取り組むように訴えていくことが大事だと強調していました。評価会議を補完する「地域分科会」と言うものが開かれ、近畿では6月に開催予定だとのことです。情報を集めて偵察に行ってみたいと思いました。





DPI副議長の尾上さんは、バリアフリー法を地域で生かすには、というテーマでした。マスタープランへの取り組みが中心的な話題でした。
バリアフリー法は昨年5月に成立し、11月に施行されています。マスタープランの策定とその達成状況などを評価する評価会議は、どの課程でも障害当事者が参画し意見を反映させることが努力義務となっています。マスタープランの前身の移動円滑化基本構想では、この十年ぐらいは制定した自治体が一桁にとどまっている状況です。これを打開するためにマスタープランを積極的に活用していくべきですが、昨年度作成した自治体は明石、宇部、射水の3都市にとどまっています。
また改正バリアフリー法の積み残した課題として、小規模店舗、学校、共同住宅、宿泊施設などがあげられます。ほかにも、エレベーターかごの大きさの最低基準が最高基準になっているのが日本であり、IPCが出している基準は17人が最低です。大阪(市)では、車いすスペース各車両ごとにあることが当たり前だとのことですが、バリアフリー法では一編成(一つの電車)に2カ所にとどまっています。ホテルもようやくバリアフリールームが1%と明記されました。
最後に尾上さんは、障害者が差別を受けながら町にでることでバリアが可視化されてきたのがここ30年の交通バリアフリーの運動です。バリアフリー法でうたわれているマスタープラン、当事者参加の策定が当たり前になるようにしていきたいと、力強く結ばれました。

















 石塚裕子(阪大講師)さんは、「明石の取り組みへの期待」と題して発言されました。石塚さんは、明石市のマスタープランのサポートをしています。基本構想は2002年に策定しており、今の泉市長の下で様々な障害者施策をとってきている。
単純に移動を円滑化させるのではなく、社会参加を推進しているところが明石の評価できる点。ユニークな点として「ユニバーサルツーリズム」の促進をあげており、「出かけたくなる町」をキャッチフレーズにしています。
明石の今後の取り組みに期待したいです。

そのほか、六條友聡さん(ぽぽんがぽん)、三星昭宏さん(近畿大学名誉教授)の指定発言もありました。

改正バリアフリー法の当事者がどう生かしていくかを考える有意義な学習会でした。